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Mr.デイル・デグロフ「東京 インターナショナル バーショー 2019 ~ カクテル & ミュージック ~」特別インタビュー

Mr.デイル・デグロフ「東京 インターナショナル バーショー 2019 ~ カクテル & ミュージック ~」特別インタビュー

「東京 インターナショナル バーショー 2019」(以下「TIBS」)のスペシャルゲスト、デイル・デグロフ氏。デグロフ氏と言えば、“King of Cocktail”と呼ばれるバー業界の巨匠で、アメリカの禁酒法を機に人々の記憶から忘れ去られてしまったクラシック・カクテルを再発掘し、新たなスタイルとして生まれ変わらせた伝説のバーテンダーです。そのデグロフ氏にTIBSの感想やこれからのクラシック・カクテルの展望についてお話をうかがいました。

Q. デグロフさんは今回、初来日とお聞きしました。まずは、日本の印象はいかがですか。
せっかくの初来日なのに、実はまだこの会場にしか足を運んでいないんです(笑)。ですから日本に来た、という実感が薄いのが正直なところです。でも、日本のウイスキー蒸溜所へ行く予定になっているので、道中で美しい田舎の風景を見られるのではと期待しています。お寿司や焼鳥などとったおいしい和食は堪能していますが、まだバーには行っていないので、飲み足りないですね(笑)。

Q. TIBSにスペシャルゲストとして参加されていかがですか。
出展企業も来場者の皆さんもテンションが高くて、非常にエキサイティングですね。私も会場に入ってシューマンズ・バーがあるのを見て、一瞬でこのイベントは素晴らしいと感じました。今回ゲストとして参加するにあたり、事前に過去数年分のビデオを拝見しました。デイブ・ブルームは昔からの知り合いで、他にもとても懐かしい顔ぶれが見られました。そういう意味では安心して、そして楽しみに今日の日を迎えられたと思っています。また、各ブースもじっくりと回り、日本の素晴らしいウイスキーや日本ならではのジンに出合え、たくさんのことを学ばせていただきました。日本に来てまだ何日も経っていませんが、必ずまた戻って来たいと心に決めています。

Q. 「なでしこカップ」の審査もされていましたが、どんな感想ですか。
非常に良い経験になりました。「国産ジンをベースに国産フルーツを使ったカクテル」という課題でしたので、私が初めて知るジンや果物、フレーバーなどが続々と登場し、私自身新しいものを学べて本当に嬉しかったです。特に驚いたのが、全体的にひとつのパッケージとしてまとまっていた点です。パッケージというのは、カクテルの見栄えや味わいだけではなく、それぞれ衣装や動きにも気を配っていたり、カクテルのテーマが決まっていたりと、目に見えない部分も考え抜かれている点が本当に素晴らしいと思いました。私もここ何年か国際的なコンペティションの審査員も務めていますが、ここまでうまくまとまっているコンペはなかなかないです。

Q. なでしこカップの選手達がつくるカクテルの味わいはいかがでしたか。
まずひとつ言えるのは、バーテンダーとしてのキャリアにそれぞれ差があるので、それが結果的にドリンクの質に影響していると思います。より経験がある方は、やはりさすがです。完成され、バランスのとれたカクテルを提供されていたと思います。まだキャリアの浅い方も、今一生懸命学んでいる最中だと思いますから、ぜひ頑張っていただきたいですね。

Q.デグロフさんは、世界で初めてクラシック・カクテルに着目し、それを現代にリバイバルした著書「カクテル パーフェクト・ガイド」を出版され、大きな反響となりました。そのデグロフさんから見て、今後、世界のカクテルトレンドはどうなると思いますか。
将来はどうなるかという質問ですが、もう未来は今ここに来ていると思います。というのも、あの本は私が90年代に書いたものだからです。私は、マンハッタンにあったレイボー・ルームというバーのために新しいメニューをつくろうと思い、様々なカクテル・ブックやカクテルレシピを探しました。しかし当時のニューヨークには存在しなかったのです。そのため古いカクテル・ブック等を収集し、禁酒法時代に一時停止になった、あるいは忘れられてしまったカクテルがあったことを知り、それに触れることができました。例えば、サゼラックやシンガポールスリングなどです。でも今は、若い世代のバーテンダーたちがクラシック・カクテルに関して、さらに深く考え直してくれていると思います。例えば、オールドファッションドというカクテルがありますが、どうすれば“ニュー”ファッションドにできるかということです。分かりやすく言うと、フランス料理にはベシャメルソースやデミグラスといった基本的なソースが存在し、シェフたちは、そのソースのレシピを基に何千という種類の料理をつくり出します。カクテルも同じで、サワーやオールドファッションド、マティーニやマンハッタンのようなスタイルがあり、個々のスタイルがフレンチのソースと同じような基本的なものです。サワーひとつから色々な方向に広げていくことができますし、実際に現代のバーテンダーは自由な発想で今までにないクリエイティブなカクテルを生み出しています。未来は今ここ来ていると私が申し上げたのは、そういうことなのです。実に嬉しいことですね。

Dale DeGroff(デイル・デグロフ)
“King of Cocktail”と呼ばれるバー業界の巨匠。 1980年代から才能を発揮し、数々のバーを生み出しました。中でも有名なのはニューヨークのRainbow Room。そこでクラシック・カクテルを見つめ直し、新たな物へと生まれ変わらせていきました。数々の受賞歴があり、長きに亘り、業界に絶大な影響力を与えてきた人物です。世界各国でバーのコンサルタントやバーテンダーのトレーニングを行うとともにカクテルコンペティションの審査員も務めています。アメリカン カクテル博物館の創設者でもあります。カクテルと音楽をこよなく愛す、伝説のバーテンダーです。